やっぱり東京タワーが好き

いくら暖冬は言え、いくら東京とは言え、この冬の気温は例年とは違い過ぎる。師走中旬の北海道滞在を終え、ダウンコートを来たまま羽田からのモノレールに乗ったことを後悔したほど東京との気温差を感じたが、それからの10日間は光だらけの装飾ケースの中が妙に暖か過ぎる。そして迎えた大晦日、ダウンはおろか薄手のセーター一枚で外に出ると、一週間前のクリスマスイブにイルミネーション目当ての人でごった返していたけやき坂の人口密度は急減していた。人をかき分けることなく歩道橋に上がると、新参者ののっぽビルのお陰で、東京タワーが小さくなっているではないか。昭和33年、完成したばかりの東京タワーとは背比べする相手すらいなかった東京の街。上から目線の注ぎ放題だった東京タワーは15年前にスカイツリーに抜かれ、今度はすぐ隣に背比べの相手が現れた。今、東京タワーは上から目線を注ぐことなく、謙虚にしかもひたむきに輝いて見えるのは私だけだろうか。